「南セントレア市」になり損ねた町 H17年2月25日 |
この地に移り住んで早や二年の月日が経った。25年住み慣れた名古屋を後にしたのは、現役をリタイアした後の計画を実行したまでの事であり、新しい生活をここ知多半島の真中で過している。
十年前にこの地を選んだ理由は、(1)自然に恵まれた土地である事、(2)海に近い事、(3)新しい空港に近い事の3点であったが、この2月17日、最初の計画を1ヶ月前倒しで「セントレア空港」が開港し、全ての条件が揃ったところである。空港開港以後、2階の西側に開けた大きな窓から眺める旅客機は、未だ見ぬ未知の世界への誘いを感じ、独り胸ときめかせている。
移り住んだ美浜町は、合併によって生まれ、既に50年を迎えた町である。人口約25,000人、観光と漁業による産業が町の財政を大きく支え、中でも美浜町の納税に一番寄与している企業は「えびせんの里」だそうで、特に最近、土・日の賑わいを見ていると頷ける、えびせん現象である。この海老せんべいの製造販売工場では、商品の海老せんべいとホッとコーヒーが営業時間中、何時でも幾らでも飲み食べる事が出来るサービスが評判となり、今や関東、関西、信州ナンバーの観光バスが引きも切らず押し寄せている。多くの乗客は、口をもぐもぐ、両手に大きな海老せんべいの袋を持ってバスに戻ってくる姿を見るにつけ、「損して得を取る」商売の基本を感じさせられている。
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美浜町の自慢は、新しく大変設備の良い図書館、運動公園であり、設備の良さは名古屋から来た客人も驚くほどのレベルである。町主催のイベントも結構多種多彩で、トライアスロンは日本中からアスリートが集まり,毎年盛大に開かれている。今年の秋は、パリの高級ホテル「リッツ」に画廊を持つフランス人画家、ティレク&ティレセク夫妻の個展がここ美浜町で開かれる。日本人よりフランス、イギリスで有名になった美浜町出身の音吉が取り持つ縁で、この夫妻が美浜町を大変気に入り、美浜町長と二年前に交された世界五大陸をテーマに、200枚の作品を制作する約束を果たす為に開かれる個展である。トヨタ自動車がスポンサーになり、半年間一般に無料公開される催しである。
住んでいる美浜緑苑は、70%が永住者、そのまた70%が名古屋方面に通勤、通学する人達で成り立っている。緑園内には「杉本美術館」があり、付帯して「渚亭」なるレストラン、美人の姉妹がノンビリ経営する海の見える茶房「やまもも」が在るくらいで、後はコンビも無い凡そ600区画からなる住宅地域である。住んで見て始めてわかったことは、夏の盛りは名古屋より2〜4℃気温が低い事、冬は滅法北西の風が強い事、半田市以南で雪が降り積もったことがあったなど、想像を超える特徴在る自然現象の豊かな町である。
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そんな静かな町に突如巻き起こった事件は、南知多町との合併によって生まれる新しい市を、開港間なしのセントレア空港から頂戴した「南セントレア市」とした新聞記事先行の発表が、町民の大ブーイングを招き、今や風前の灯状態に在ることである。結局、合併と名前を住民投票で決める事になった。今や保守系と革新系の宣伝が入り乱れ、双方の言い分を聴けば聞くほど迷いが拡大し、いっそのこと全て白紙に戻して、知多半島全市町村合併にならないかと、夢にもならない空想画を描いている。
空港開港前後になって、近辺に新しい家があちこちに建ち始め、一寸した建築ラッシュの様相を呈してきたが、人が増えるのは大変喜ばしいことで、更に良い町にするため、そろそろ何か町のお役にたつ行動を採らねばならない時を感じる今日この頃である。
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