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対談
【今回の対談の日時】
2005年2月17日
【対談の相手】
日野哲也氏:株式会社ノリタケカンパニーリミテド 
         相談役
窪田
今までのご経験の中で、理念経営についてお感じになっておられることがありましたらお願いします。
日野

どんな企業にでも素晴らしい創業の理念があるはずです。ところが年月が経つうちに忘れさられ、不祥事が起きたりすることがあります。そうなってはいけませんので、私は10代目の経営者でしたが、創業の精神を反芻するようにしておりました。弊社には明治42年に明文化された創業の精神があって、共存、共生が第一番目に掲げてあります。ちょうど昨年創業100年になりましたので、遊休地をどう生かすか考えるにあたって、やはり100年この地ではぐくんでいただいた御礼をすることにしました。安らぎと癒し、憩い、くつろぎの場として地域の皆さんに使っていただこうとノリタケの森を3年前にオープンしたのです。ノリタケの森は現在皆さんに喜んでいただいていますので、作って良かったなと思っています。

窪田

若い経営者に良く話すことですが、これからの経営を考える前に、創業の精神に戻って、今までどういう形で歩んできたかをきちんと受けとめた上で前に進まないと、絶対方向を間違えると思います。奇をてらったことをしても仕方がないんですよね。

日野 ベースが必要ですからね。
窪田 どんなにいい話を聞いても、根本にしっかりしたものを持ち、本当の意味で目的を持っていないと、聞いた話が生きないですね。社会に対する感謝の氣持ちとか、仕事に対する感謝の氣持ちがないと間違った方向に行ってしまうことがありますね。
日野 企業というものは業績を上げないといけないという使命はありますが、やはりベースたるものがしっかりしていないといけないですね。そのためにも絶えずチェックする機能を設ける必要がありますね。ただ数字を追いかけてどんどん進むだけではいけませんね。
窪田 急に伸びた企業を賞賛することがありますが、本当の意味でどうなのか、きちんと判断する必要があります。
日野

私の中の日本の三大できごとは、黒船来航と、昭和20年の敗戦、そしてバブルです。先の二つは皆認識していますが、バブルはどうでしょうか。バブルがあったことは知っていますが、認識しているかが問題です。知っているのと認識しているのとでは大きな違いがありますからね。

窪田 時期的なこともあって、最近学生の前で話すことが多いのですが、私の捉え方ですが、高度成長期は学生に人氣の業種が製造業でした。次のバブルの時代は金融業が人氣でした。そのバブルがはじけた後は人の時代だと思っているので、そう学生さんに話しています。物とか金ではなく、人としてどうかを真剣に考えて就職すべきだと話していますが、皆考えていませんね。企業側も学生側も根本から経営を考えないといけない時代なんですけれどね。
日野 そうなんですよ。景氣が回復してきて業績があがるのは結構なことですが、その根本に内面的な精神的な人間としての成長が無いと、企業の力は確固たるものになりませんね。今の世の中には、経済界であれ、家庭であれ、今まででは考えられない不祥事や犯罪が続発していますよね。判断力が疲弊してしまっていると思います。この原因として私なりに思っているのは、戦前には知育、徳育、体育を教えてもらったのに、戦後食べるために数字や物を追いかけ過ぎて徳育が忘れ去れたまま、半世紀経ってしまった。そういう人々が大人になってしまったのではないかと思います。どんな国にも悪はありますが、今の日本には悪の意識のない悪が横行するようになってしまった。由々しき問題です。それは道徳というベースが無いからだと思います。
窪田

今の若い方には型にはまった話をする人が多いですね。豊かな発想力も失われてきているように感じます。

日野 どこかで修正しないといけませんが、それには、先ほど窪田さんがおっしゃった、感謝の氣持ち、これから始めるのがいいのではないかと思います。10年でも無理でしょう。20年か、30年かの長期計画で取り組まないといけません。政治任せだけではなく、マスコミの力も借りて、社会的に問題提起して、基本的なことを取り戻そうという取り組みをすべきですね。
窪田 企業内でも、仕事をやらされているのではなく、自分のこととして仕事を捉えられると、それをサポートしてくれる上司に感謝の氣持ちがわくはずなんですよね。そう捉える人が少ないのが現実ですね。
日野 それに政治が悪いから、学校が悪いから、会社が悪いから、上司が悪いからと他人のせいにする人が多いですね。そうではなく、個が重要です。さらに言うなら、自主的な考えをもって自主的な行動をすることも大切ですが、それ以上に客観的に自分を見つめ、会社を見つめ、社会を見つめることが非常に大事だと思います。物事に熱中して一生懸命になることは大変いいことですが、没頭すると周囲が見えなくなります。プロジェクトでも、日常の仕事でも自分勝手に行うのではなく、社会的に見てどうかなど、客観視することの大切さを良く社員に話しています。
窪田 そうですね。
 

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