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対談
【今回の対談の日時】
2005年1月31日
【対談の相手】
川喜田貞久氏:株式会社百五銀行 会長
窪田
この対談では、理念経営についてお話を伺うことにしています。御社にはしっかりとした企業理念がおありですので、中心にお聞きしていきたいと思います。
川喜田

当社の企業理念は、
  □百五銀行の使命:信用を大切にする社会をささえます。
  □百五銀行の経営:公明正大で責任ある経営をします。
  □私たちの行動  :良識ある社会人として誠実に行動します。

窪田 まず企業理念の企業の定義をどう考えておられるかをお聞きしたいです。
川喜田 企業とは、人間がハッピーになるための手段の一つだというのが私の企業感です。だからこそ、人を不幸にするような仕組みになっていたらおかしなことになりますね。
窪田 なるほど。いい言葉ですね。私はリーダーの条件として、人の幸せを自分の幸せと思えない人はなってはいけないぐらいに思っています。企業は法人ですから人の集まりだということが重要ですね。人が集まって企業ができているはずなのに、いつの間にか企業という作られた枠ができてしまって、そこに人が入るという発想になってから悪いサラリーマン社会になってしまったと思います。
川喜田 そこですよね。企業とは志を同じくする人の集団ですよね。ところが現実は思想による差別はいけないなど違う観点からの意見なども入ってきてしまって、中々本来の姿を貫きにくくなっています。
窪田 先日就職活動の支援のための講演会で、きちんとその会社の理念とビジョンを見て、自分に合う会社を見つけなさいと学生さんにお話ししたんです。業種などは関係ないよと話しました。
川喜田

そうですね。合わなかったら辞めるというぐらいにならないとね。

窪田 ところで私はビジョンとは理念のビジュアル化だと考えています。例えば色とか方向性とかです。この使命の言葉を見ますと、理念に近い言葉のような氣がしますが、御社のビジョンは何だとお考えですか。
川喜田 私が昔から困っていたのはそこなんですね。例えば保険会社は働き手が急に死んだ場合、後に残された家族が路頭に迷わないように前もって考えおくというように、使命がわかりやすいのですが、銀行の使命はわかりにくいんです。それで困ってひねり出したのがこの「信用を大切にする社会をささえます」という言葉なんです。
窪田

私の勝手な考えですが、銀行とは、理念を持った社会に役立つ会社の支援をして、そうじゃない会社の支援はしないということではないかなと思うのですが。

川喜田 本来はそうなんですね。変な会社にお金を貸してはいけないというのは、そのお金が社会のためにならないことに使われてはいけないからです。でも実際はね、企業に貸したお金で儲けたお金がどこへ行くかなんてわからないんですよ。また逆に基準を厳格にして、例えば公害を出す企業にはお金を貸してはいけないとなると、どこに貸していいかわからなくなるんです。お金は何に化けるかわかりませんからね。
窪田 物を作ればゴミになりますし、良いのか悪いのかの判断が難しいですね。
川喜田 ですので、この使命の言葉を作る時に考えたのは、銀行とは預金を無担保で預かっていますね。逆に貸す時は担保をお願いする。そう考えると、世の中は信用が元になって成り立っている部分が大きいわけです。それでこういう文章にしたのですが、具体性に欠けるのが不満なんですね。
窪田 生意氣を言わせていただくと、理念としてはいい言葉だと思いますが、使命となるともう少し具体的な方がいいように思います。
川喜田 そうなんですよね。
窪田 ところで使命の中に出てくる社会という言葉も難しいですね。
川喜田 社会というのは共同生活だと思います。結果として人間は一人では生きていけないために分業して助け合っているのだと思います。
窪田 それを聴いて私が感じたのは、共同生活をするためには、一人ひとり個性を持っていないといけないということです。商店街のように自分の得意分野をきちんと持っていないとだめだなと。
川喜田 他人の自由というものに対して、謙虚である、尊重するということが第一ではないか。つまり正義の数は人の数だけある、いや正義の数は人の数の何倍もあるかもしれません。
窪田 なるほど。私も全く同じように考えているんですが、社会とは小さな強さが集まった時に強くなるものと考えています。弱さが集まってもだめなんですね。
川喜田 そう思うんですよね。その次に自由や、プライバシーの問題が出てきますね。やっかいなのは、自由でいたいかと聞くと自由でいたいと言う人が多いのですが、往々にして自由の怖さが勝つんですね。その結果、奴隷願望になるんです。だから民主は手段で自由は目的だと思うんです。ある人が言っていたのですが、木彫り小屋に住んでいる人が、木が決まって初めて自由を得るのだと。自由には制約があるのだと言ったらしいです。木は一本一本木目などが違いますから。そういう制約がある中での自由な生活をしているわけですね。私は木に当たるものが共同生活だと思うんです。自由の前に共同生活という制約があります。そうじゃないと、皆勝手に主張してバラバラになってしまいますよね。
窪田 深い話ですね。
 

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