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対談
【今回の対談の日時】
2004年7月28日
【対談の相手】
片桐清志氏:
  シーキューブ株式会社 代表取締役社長
【聴き手】
窪田貞三
窪田
本日のテーマは理念経営についてですが、まずは理念という概念の浸透のさせ方からお話を伺えたらと思います。
片桐 理念という概念を共有するのは難しいことですが、だからといってあきらめてはいけません。それらしいものを考えていけば、それに近づいていくのではと思っています。
初めに理念ありきで企業が成り立っているかというと、そこまでの自信はありませんが、理念を持って経営するということは必要だと思っています。理念とは迷った時に戻るところであり、社員が理念を意識することによってそれに向かう活力を生み出すという効果があるのは当然です。夢やコーポレートアイデンティティが近いでしょうか。当社でも企業の存在意義というか、どんな使命を持っているかということかをわかりやすく言えたらいいと思ってきました。当社は通信をより広く使ってもらうのを手助けする、いわゆる縁の下の力持ちですから、華やかな表舞台に出るわけではない。その中でいかに元氣の源を作るかと考えるわけです。それで作ったのが「技術力ナンバーワン」という言葉です。規模ではトップにならなくても、小粒でもピリリと辛い山椒のように、量ではなく質を求めるというんでしょうか。社員の9割が技術者なので、彼らにわかりやすい言葉で表現したかったのです。
窪田 技術力というのは夢がありますね。新しいものを生み出すということですよね。技術力イコール営業力だと思いますから、技術を追求すれば営業していることになりますね。
片桐

そうですね。高品質のことをやっていることが営業力になると考えています。

窪田 今は技術の時代だと思っているんです。技術を掘り下げていくと文系的発想に繋がるような氣がするのですが、片桐さんは理系と文系と両方のセンスを持っておられると思います。
片桐 技術はしょせん道具ですからね。技術の持っている可能性をどう引き出してやるかが重要なんですね。どこをつついたら何が出ててくるかわかるというのが技術的センスなんですが、それは人によって違います。私は、ただ、ものごとを何で何でと考えているだけですけれどね。
窪田

今は片桐さんのように、真剣に何のためにと考える人が少ないですよね。

片桐 そうなんですよ。会議に出席すると不思議に思うのですが、その会議の目的をきちんと考えず参加している人が多いんです。手段はよく知っているんですけれどね。
窪田

社員が理念になかなか到達しない理由の一つに、社員は目的よりも手段を好むことが多いんですね。

片桐
全くそうです。社長というタイプの人間は目的が氣になってしょうがないんですけどね。だからといって、社員に毎回仕事の目的を考えろと強制しても難しいですから、そこはこちらが与えてあげるにしても、最終的には何のために仕事をするのかということは考えてもらいたいですね。人生の長い時間を費やすのですから、働き甲斐を持って欲しいのです。会社に入ることや地位を目的と考える人がいますが、それは違う。当初はそう考えていてもいいのですが、次の目的に常に変わっていかなくてはいけないわけです。どんどんステップアップしていく必要がありますね。つまり、常に今自分が目的と思ったことを明日には手段と思えるようにしていかないといけないと感じています。
窪田 それはいつ氣づかれたのですか。
片桐 自分が何でサラリーマンになったかを今から考えると、もちろん初めはそんな大層なことは考えていませんでした。ただ自分のやりたいことがやれそうかなということで選んだというだけでした。しかし、実際に入社してみると、自分の可処分所得で行うことは限られるが、会社の名前で携わる仕事の規模はものすごく大きいわけです。何と面白い仕組みなんだと思いましたね。その時に、会社は給料をもらうところだという考えは全く無くなりましたね。
窪田 そこに氣づかれるというのが、やはり違いますね。
片桐

それまでは収入を得る場所だというぐらいにしか考えていませんでしたが、そこに氣づいてからは、こんなことは個人ではできないんだから、やらなきゃ損だぐらいに思えてきましたね。そう考えてくると、自分のやっていることは天職に思えてくるんですよね。

窪田
今やっていることを天職と思えないなら、本当の天職は見つからないと思います。学生によく話すのですが、今最良と思えることをとにかくやれと。自分の天職は何かなといつまでも考えていても見つかるものではありませんから。そういう発想の仕方はなかなかできないようですけれどね。
その氣づかれたことを社員教育に使うことはできますか。
片桐 ええ。新入社員が入社した翌日に逆面接会ということを行っているんです。入社したら落とされることは無いんだから、何を言ってもいいんだよという場なんです。最初からいい子にならなくていいよ、自分でやりたいことを早く見つけろよということを言ったりするんです。
窪田 いい話ですね。可能性をつぶすのは良くないですからね。
片桐 少なくとも入社式の翌日は誰でも燃えていると思いますから。鉄は熱いうちに打てじゃないですが、早く目標を見つけなさいと言いますし、また会社のためにとあまり考えなくてもいいよと言ってあげるんです。
 

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